劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
*以下は劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の感想ですので、鑑賞した後にご覧ください
はじめに気になったのは、起承転結が2回ある物語の構造です。まず前半に下弦の一と竈門炭治郎たちが戦う無限列車についての起承転結があり、次に後半に上弦の三と煉獄杏寿郎が戦う線路脇での戦いについての起承転結がある。そして全体から見れば、前半が起承にあたり、後半が転結にあたる。この構造を見て思いだしたのが、天空の城ラピュタです。それが文学論であったのかインターネット上の書き込みであったのか記憶が曖昧ですが、天空の城ラピュタも大きなシナリオの中に小さなシナリオがふたつあると言われています。これはおそらく、ラピュタを発見するまでが前半の起承転結であり、ラピュタが崩壊するまでが後半の起承転結であるという意味合いでしょう
下弦の一には部下の鬼がおらず、同情を誘うような可哀想なバックボーンもない。そういった肉付けは不要だという判断でしょう。能力的には上弦の鬼に劣る下弦の鬼でありながら、策謀を巡らせることで炭治郎たちに苦戦を強いたので、前座としては十分な活躍です。彼に与えられた役割は、下弦の鬼では上弦の鬼にも柱にも及ばないという力関係を示すことであったと推測され、その役目は十分に果たしています
一方の杏寿郎に与えられた役割は、柱では上弦の鬼には及ばないという力関係の説明でしょう。ここへ来て、「上弦の鬼>柱>下弦の鬼」という力関係の説明が完了します。致命傷を負って戦闘では敗北したものの、犠牲者を出さず戦略的には勝利したというのは、上手い落とし所です。また即死していないために、炭治郎たちを激励するとともに次なる指針を示す役割も負いました
全体を通して綺麗にまとまったシナリオであり、映像作品としての出来映えも良好で、これは万人にお勧めできる映画だといえるでしょう
以上、ご清覧ありがとうございました
ご意見・ご感想をいただければ幸いです